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大阪で行われている障害者雇用の工夫

大阪市にある空調機メーカーが障害者を多く採用したことがきっかけで、周囲の企業も障害者雇用に力を入れ始めている。各企業は障害者雇用の意味を、地域や社会への貢献に加え、多様な人材が働くことに見いだしている。

障害者と働くにあたって大切なのはコミュニケーションにおける傾聴の姿勢だ。それは、相手にために聴くということである。しかし、一般的に障害者の話に傾聴するのは、簡単ではない。理由は、障害者と健常者とでは内的世界が違うからだ。多くの人は自分の枠組みを持っているため、他人の話を聞いているつもりでも、自分の枠組みに当てはめてしまいがちだ。障害者のなかには、話すことが不自由な従業員もいるので、相手のために心で聴くスキルが求められる。言葉が不自由であっても、結論だけを伝えさせるのではなく、感じていることを十二分に表現させることがカギとなる。

また、コミュニケーションの姿勢だけでなく、作業場に工夫をこらすことも重要だ。たとえば、仕様書通りに部品を集められるように、必要な部品棚の上にランプを点滅させたり、聴覚障害がある従業員向けには、組み立て検査装置にはランプで合否が分かるようにするといった具合だ。一定割合の障害者雇用を義務づける法定雇用率は、今後も引き上げられることが見込まれているが、その雇用率達成だけを目標にするのではなく、障害者と健常者が真の仲間意識を持つにはどうすれば良いかが、すべての企業に問われているといえる。